リスクマネジメントの目的はノンストップ

リスクマネジメントは企業活動を計画通りに進めるための手法であり、企業活動をノンストップで進めるための手法です。組織経営に於けるポイントの1つに業務を計画通りに進めることがあり、スケジュール管理とリスクマネジメントが必要です。リスクマネジメントの目的は仕事を止めないことと、仕事を待たせないことです。業務遂行中に発生するトラブルや障害について、発生する度に対応策を検討すると、毎回検討時間を要することになり、確実に業務が遅延します。そこでリスクマネジメントは業務遅延を防止するために、あらかじめ発現が予想されるリスクの洗い出しを行い、リスク管理表に記載を行い、リスク管理表にリスク発現時の対策を記載します。そして、リスクの発現が観察された場合には、リスク管理表に記載された対策が実行されます。リスク管理票が作成された後は、モニタリングによりリスクの発現を監視します。モニタリングする項目はトリガと呼ばれるリスク発現に先立って観察される事象であり、リスク管理表に記載されます。リスクマネジメントが機能することにより、リスクの発現が観察されると、検討時間無しに、すぐさまリスク対策が実行され業務遅延が防止されます。しかし、日々の業務環境の変化に対応して、業務を止めない、待たせないためには、リスク管理表に記載されてリスクを監視するだけではなく、日々変化する状況に合わせて日々発生する障害に備えてバックアッププランを考えておくことが重要であり、計画遅延とならないためには人の管理を含むヒューマンエラーへの対応が重要です。バックアッププランとは、例えば現場の現場マネージャが判断する手順組み替え等を含む日々の作業プランのことです。例えば、今、認識されている作業の中で、今できる作業から行うことがバックアッププランであり、日々の環境変化に沿って策定されます。主な環境変化は人に関する事象変化です。そこで、本書は3ヒューマンエラーを扱います。また一般的には、リスクマネジメントではマイナスのリスクを扱います、マイナスのリスクが発現すると行程遅延や費用超過となります。しかし、実際にはプラスのリスクも存在しており、経営計画やプロジェクトの計画時には表に出ることはあまりありません。しかし業務を計画通りに進めるにはプラスのリスクの認識が必要です、そこで本書はISOの31000で定義されているプラスのリスクについて、プロジェクト予算設定での具体例を示しています。リスクマネジメントではリスクの大きさを期待損害額で表現すします。期待損害額は式(1)にて算出を行います。更に定量的リスク分析で使用する発生確率の算出については、本書ではモンテカルロ法を使用して確率的にリスクの発生確率を求めるシュミュレーション例を示しています。

リスクの損害費用(期待損害額)=発生確率×発生時損害費用―――(1)