リスクの洗い出しと定性的リスク分析

リスクマネジメントは企業活動を計画通りに進めるための手法であり、企業活動をノンストップで進めるための手法です。企業活動を計画通り進めるためには、活動を止めないことがポイントです。そこで、リスクマネジメントでは、まず、リスクの洗い出しを行い、次に、洗い出されたリスクが発現することにより発生する損害と発生確率から期待損害額を計算します。リスクの洗い出しでは問題のありそうな事項をステークホルダによるブレーンストーミングにより洗い出しをします。リスクの洗い出しはリスク特定とも呼ばれ、リスクマネジメントの基本です。洗い出されないリスクは対応ができないので、リスクの洗い出しはリスクマネジメントの最も重要な手順の1つです。リスクの洗い出しもれが無いようにチェックリストに基づきリスクを確認するのは有効はな方法です。企業では契約書をチェックリストに基づいてチェックすることをフロントローディングと呼び、リスクの洗い出しもれを防ぐ有効な手法です。以下に代表的なリスクの洗い出し方法を示します。洗いされたリスクを表1に示すリスク影響度、発生マトリクス状に配置することにより、対策の必要性を検討します。

  • ブレーンストーミング法

数人が集まって、あるテーマについてアイデアを出し合ってアイデアをまとめて行く方法で、他人のアイデアを批判しないことがポイントである。

  • デルファイ法

デルファイ法とはデルフォイ(Apoll)の神託にちなんだ予測の手法である。デルファイ法は各分野の専門家にアンケートによって意見を求め、結果を再びアンケートとして回答者に送り、数回のアンケートの反復を行なって専門家の意見を調べて予測を行う。

・チェックシート法(チェックリスト法)

データ収集や状況確認において、項目や図などが既に記入されたシートで記録、チェック、点検等に用いられる。リスクの洗い出しでは過去の事例を元に確認項目が記入されており、今回の状況を確認するために利用される。

・戦訓録法

戦訓録は不具合レポートや不適合報告とも呼ばれ、過去の失敗事例を記録したものである。プロジェクトの開始に当たっては戦訓録を点検して過去の事例を繰り返さないことが必要である。しかし過去と今回の状況が異なることが多く、簡単に適応できないことが多く、人の知恵を必要とする。

  • アンケート法

組織内やステークホルダにアンケートを回して部署内の意見を収集してリスクを検討する。

多数決法

メンバーの多数決によりリスクを特定する。

・ロールプレーイング法

実際の状況の想定とシナリオの作成を行い、シナリオに沿って活動を行い、実際に問題がないか、シナリオ通り活動を進めることができるかどうかを確認する方法。

図1 影響度発生確率マトリクス